皆さんこんにちは‼
 今日は、私が投資を始めようと思った理由の一つである「銀行への預金はだけではダメ」ということについて説明しようと思います。

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 もともとリスク恐怖症だった自分は、銀行への預金は最善策だと思っていました。銀行が破産することはそうそうありませんし、銀行の定期預金なら年率0.1%で利子がつくので、元本割れせず資産が増えていくので素晴らしいと思っていました。

 ところが、投資関係の本には大抵書いてあるのに、多くの人(もちろん多くの東大生も)が知らない事実として、「銀行預金は年々その価値を喪失していく」ということがあります。

(中央銀行とインフレーインフレは国策ー)
 皆さんは、日本の中央銀行をご存じでしょうか?そうですね、日本銀行(通称:日銀)ですね。

 上から見ると建物が「円」の字になっているというウンチクもありますが、日銀がどのような役割を担っているのか具体的に説明できる人は少ないと思います。

 日銀は中央銀行であり日本で唯一の発券銀行です。諭吉も一葉も英世も日銀が発行します。日銀は政府の借入金の証書である国債を引き受ける役目も負いますし、景気動向に合わせて金融政策を行います。

 日銀が行う金融政策の中に、「物価安定の目標」があります。

 日銀は市場経済における効率的な資源配分のために物価の安定を重視しており、具体的には、消費者物価指数を前年比2%上昇という目標を掲げています(実際には目標を達成できておらず1%ちょいくらいの上昇率ですが笑)。

 消費者物価指数の上昇とは、言い換えれば物価の上昇を意味します。つまり、インフレを意味します。

 ということは、国の中央銀行たる日銀が年2%のインフレを目標としているということになるのです。これは国策によってインフレが推進されているということになります。

 インフレは物価上昇を意味しますから、当然その分貨幣価値は減少しています。つまり、私たちが持っている貨幣(日本円)の価値は年2%ほど減少する可能性があるということです

(預金の価値は時間とともに減少する?ー立ち食いソバの価格と消費者物価指数ー)
 
もっと具体的な例で説明しましょう。ここでは立ち食いソバを例に挙げます。
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 駅とかにあるあの立ち食いソバ、1960年は一杯35円でした。それが現在では270円と約8倍になっています。

 実際に、1950年の消費者物価指数を1とすると2019年の消費者物価指数は8.35と約8倍になっています。つまり、ここ50年間で物価が約8倍になり、貨幣の価値は8分の1になったことが分かります。
(※1950年と今では商品の質・生産コストが異なるといった指摘もありますが、ここでは概念として紹介しています)
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 同じことは、大卒の初任給にも言えます。

 1970年の大卒初任給は平均約4万円、現在(2012年)の大卒初任給は平均年20万円です。1970年の平均を現在価値に直すと約14万円ですが、それでも貨幣価値がこの40年で大きく減少していることが分かると思います。
 
 
政府は財源を賄うために国債を発行し中央銀行に引き受けてもらいます。中央銀行は発券機能を持っているため、紙幣を発行し政府から国債を買い取ります。政府は国債と引き換えに受け取った紙幣を用いて予算を組みます。

 こうして、政府が使った紙幣が市場に流通することで、市場に流通する貨幣量が増加し貨幣価値は減少します。これの繰り返しによってインフレが進行し、銀行にある預金の価値は年々減少していくのです。

 
もちろん、インフレが進行すればそれに応じて賃金量も増加するので、今後受け取る貨幣量は増加します。その一方で銀行預金については年々減少する一方なのです

 
銀行に預けている余剰資金を投資に回し、インフレ率以上で運用することで資産の実質的な価値の減少を防げるというわけです。

(為替リスクー将来的な円安リスクー)

 上の項目では、インフレによって貨幣(日本円)の価値が減少するという話をしました。実は、もう一つ日本円の価値が減少するリスクがあります。それは、為替リスク、つまり、円安によって国際的に円の価値が減少するリスクです
 
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 日本人の個人金融資産の90%は依然として円建て資産です。円高の時は国際的に円資産の価値が増加しているのでかまいませんが、円安が進んだ場合は資産の実質的な減少を意味します。

 
2012年以降の第2次安倍内閣による経済政策「アベノミクス」によって一時期76円台だった円相場は120円台まで円安が進みました(2019年現在では110円台)。今後もインフレ等によって円安傾向が続く場合、資産のほとんどを円建てで保有することは為替リスクを負うことを意味します

 また、為替は二国間の金利差やインフレ率の差、マーケット環境や貿易収支、雇用統計等の経済指標によって影響を受けるため、プロでも予想が難しいのが実情です。

 
為替が円安、円高どちらに動くか不確実性がある以上、分散投資の観点からも、資産のほとんどを円建てで保有することはリスキーだといわざるを得ません

 外国債券や株式、または外貨預金等で円建て以外の資産を保有することも円安リスクに備える上では重要です。具体的には、外国株式や債券に投資する投資信託が一つの選択肢となります。
 

(投資しないリスク)

 上の2つの項目から、どうして「銀行預金は年々その価値を喪失していく」かが分かったと思います。
①政府の国債を中央銀行が引き受ける過程でインフレが起こり、貨幣価値が年々減少
②経済政策による円安による国際的な円資産の価値減少

 この2つによって、例え銀行預金であっても絶えず価値減少のリスクにさらされていることが分かったと思います。

 リスクが怖くて投資を始めない人はたくさんいると思いますが、実は安全だと思って銀行に預けていた預金そのものが、投資をしないリスクにさらされているのです

 このリスクの巧妙な点は、額面上はお金が減っているようには見えない点です。しかし、年々確実に銀行預金の価値が減少しているのは確かです。そこで、投資のよってインフレ率以上の年利で資産を増やしていく必要があるのでしす。

 また、そうした投資の知識や経験は一朝一夕に身につくものであはありません。また、銀行預金は長年預ければ預けるほど「複利の力」によってその価値をどんどん失います。

 そのため、若い時から投資についての考え方や知識について学んでおくことは重要です。大人になってより多くのお金を得る前から投資についての経験を得ておくことはとても重要だともいます。

(それでも預金は必要)
 ここまで話すと、銀行預金をやめてすべて投資に回そうとする人が現れるかもしれません。しかし、投資とはあくまで余剰の資産を運用するものです。

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 そのため、十分な生活資産(給料2か月分程度)が銀行預金にある状態で投資をするのがベストです。

 銀行預金のメリットは金融商品と違い、流動性が極めて高い(取付騒ぎにでもならなければいつでも引き出せる)上に、ネットバンキング等で送金が容易という点があります。また、クレジットカードやキャッシュカードを使う上でも一定の銀行預金は必要です。

 私は、銀行預金をやめろと言っているのではありません。生活に必要以上な資産を銀行預金に入れておくのではなく、投資によって運用することを勧めているのです

 生活のための最低限の銀行預金は当然必要ですし、資産の90%以上を投資していたら落ち着いて生活ができません。

 私もかつては総資産の90%以上を投資に回したところ、日常生活のお金に困った上に、値動きが気になりすぎて集中できなくなりました。

 適正な量の銀行預金は投資をしている間の精神安定剤としての機能も持っています。

 あくまで、銀行預金と投資、それぞれの目的と特徴を見極め、正しく運用していく必要があると思います。

(参考):内藤忍「資産設計塾」第4版、2015、自由国民社
    :日本銀行「金融政策」https://www.boj.or.jp/mopo/outline/qqe.htm/
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